ホーム(卒業生の一言 移動) > ブログ > 2015年米国研修レポート Vol.2
JNF活動レポート海外研修セミナー
2015/01/02

2015年米国研修レポート Vol.2

ブログ

米国レポート Vol.2

米国レポート Vol.2

「サプリメントアドバイザー米国ブラッシュアップ研修 2015」は多彩なプログラムで構成されています。特にみなさんの期待が高いのは、店舗視察、展示会参加、スペシャリストセミナーではないでしょうか。 店舗視察では日本にはない自然食やオーガニック、サプリメントなどにこだわる専門店を複数訪問します。1回目のレポートで紹介したホールフーズもそのひとつ。サンフランシスコという健康意識の高い消費者が住む街の店舗は日本より進んだ健康コンセプトがいっぱい詰まっています。店舗視察は実際のマーケットを肌で感じ、消費者目線で日本のサプリメント市場を客観的に評価する視点を養うのに最適です。また、二つ目のポイントとなるのは、世界最大の自然食・健康食品の展示会に参加することです。最先端の商品に触れ、世界のサプリメント市場の潮流を掴むこと。エキスポ参加は注目素材や新しい訴求ポイントなどの生情報を収集する場としても活用していただいています。 さらに、他にはできない経験となるのが、米国の専門家からのレクチャーです。毎年、旬の研究テーマや話題を掘り下げて学ぶことができる機会として「JNFスペシャリストセミナー」をプログラムに盛り込んでいます。JNFスペシャリストセミナー2015では、「米国最先端の健康と栄養メソッド」をテーマに3つのセッションを組みました。セッション1はスタンフォード大学のLisa Offringa, PhDによる学術的な講義、セッション2はスタンフォード大学内のカフェテリアの管理栄養士が取り組む食事提供の実践的な講義、セッション3は米国カリフォルニアの健康志向の高い消費者市場に関する講義です。今回のレポートでは今年のスペシャリストセミナーのセッション1をご紹介します。

■スペシャリストセミナー「米国最先端の健康と栄養メソッド」

研修の2日目は朝いちばんにスタンフォード大学へ。スタンフォード大学は創立125年を迎える全米でも有数の名門校で、メインキャンパスは3310ヘクタール(東京ドーム700個分以上)という広大な面積を持ち、街路樹や芝生など緑のあふれる敷地内に、学部棟や研究棟、病院やクリニック、図書館や美術館、チャペルまでを備えています。 私たちはそのキャンパス内のCorduraホールでセミナーを受講しました。セッション1ではLisa Offeringa博士の「Food as Medicine: Plants that Meal」と題する講義で、予防医学の観点から植物由来の健康・栄養に関する研究について伺いました。

■植物由来品の機能と健康-タイ伝統薬用植物を通じて

博士はタイ北部の伝統的な食事や伝統療法を研究対象とし、健康への影響、疾病予防や健康改善について評価してきました。自ら現地に入り、植物を採取し、細胞試験や動物試験、さらにはヒト試験も実施したとのこと。科学的なアプローチに加え、タイと歴史的な交流のあった中国の伝統医療やインドのアユールヴェーダ医療が組み合わさり、タイの現地医療として成熟したことを踏まえ、その文化的・歴史的な背景からのアプローチ、さらには仏教思想が現地医療や伝統食に及ぼす影響も含め、医療民族植物学(Medical Ethnobotany)の立場から調査しています。 タイの伝統医療では現地で生育している薬用植物を多用します。伝統的に薬効が知られている植物を採取し、その有用成分を伝統的な調剤方法により配合し、患者に用いるのです。ヤシの木の葉から作るBai Lanという紙には、薬用植物から抽出したエキスを混合する配合が書き残されていました。こうした資料も重要な研究対象です。さらに、現代のタイで伝統療法を実践するヒーラー(治療者)などへの聞き取りも実施し、生物学や医学、考古学、歴史学、文化人類学といった多角的なアプローチで、タイでの伝統食や薬用植物と健康についての関わりを研究しています。 タイの伝統医療では、薬用植物を7種類から48種類組み合わせで配合剤を作製します。多くは10種類から20種類の植物を用いるといいます。リサ博士はタイの薬用植物の配合剤の中でも、寿命や記憶機能に及ぼすというものについて、科学的な方法によって、検証をおこないました。まず、記憶障害に用いられている伝統医療の植物配合剤に含有されている11種類の植物を同定し、それらの生化学活性と抗酸化作用、さらに神経伝達活動性についてインビトロ試験を実施しました。さらに作用が期待される特定の植物抽出物について、ラットを用いた動物試験を実施し、記憶機能に及ぼす影響を調べました。この結果、この植物抽出物は、非常に強い記憶機能向上作用を持つことが確認されました。伝統療法が科学的な妥当性を持つものだったことが証明されたのです。

■Eat Well= Be Well(よりよく食べ、よりよくあろう)

-腸内細菌叢の役割と健康に関する研究 こうした現地調査をもとに、リサ博士は新たな研究プロジェクト「スタンフォード フードシステム イニシアティブ」に着手しています。そのプロジェクトの最新研究として、論文発表前の研究についても紹介してくださいました。未発表のため、詳細はお伝えできないのですが、日本でも注目されているダイエット法「糖質制限」に関する一般人を対象とした介入試験や、ヒトの腸内細菌叢に関するコホート研究です。このコホート研究は、糞便のサンプルから得た腸内細菌叢の情報と食事、健康状態や肥満度、身体機能などを分析し、腸内細菌叢と健康の関係をあきらかにしようする取り組みです。ヒトの大腸には1兆個のバクテリアが棲んでいるといわれています。それらは食事の影響を大きく受けながら、腸内で様々な活動をしています。例えば、単鎖脂肪酸などを作ることやビタミンの合成、病原菌から大腸組織を守り、免役機能を賦活させる働きが認められています。近年では、その他の機能についても研究が盛んにおこなわれるようになり、大腸の細菌叢が肥満に影響を及ぼすことも明らかになってきました。肥満の人は腸内細菌叢にいるバクテリアの多様性が乏しいそうです。ただし、そうした肥満の人が減量に成功すると腸内細菌叢のバクテリアのバランスが変わってくることが確認されています。細菌叢のなかにいるバクテリアのうち、食べ物からより多くのエネルギーを取り出す働きを持つ細菌があることも分っています。このように、私たちが細菌叢を最適に保つ食事をすることで健康増進ができる可能性が示唆されています。具体的には、食物繊維の豊富な食品を食べることで善玉と呼ばれる腸内細菌を増やすことができるでしょう。またプロバイオティクスとよばれるヨーグルトを摂取することは、腸内細菌の種類を増やすことにつながると考えられています。また、プレバイオテイクスと呼ばれる消化されない食物繊維やオリゴ糖は腸管内の細菌を育てることにつながります。Eat well「よりよくたべよう」ことは、Be well「よりよくあろう」ということです。リサ博士はセミナーの最後に「Eat More Plants!!!」とのメッセージを私たちに投げかけました。 よりよく食べ、よりよくあろう。そのために植物(野菜)をたっぷり食べましょう。スタンフォードの学びは、私たちの食生活ですぐに実践できる健康法です。リサ先生の今後の研究を楽しみにしたいと思います。

■リサ先生の略歴と主な研究成果

(スタンフォード大学の研究者情報より抜粋)
https://med.stanford.edu/profiles/lisa-offringa リサOffringa博士の研究テーマは、植物由来の食品による疾病予防です。特定の健康課題を治療するため、または健康改善や健康づくりのために植物由来の機能性成分を食事に活かしていくことを明らかにすることをめざしています。 博士が取り組む研究プロジェクトは、食事や植物の摂取の生理学的効果を大規模臨床研究により評価するもので、国際的な栄養政策に影響を与えるものです。世界各地の伝統食や薬用植物が健康に及ぼす影響を調査や、そうした機能性成分がヒトの腸内細菌叢にどのように関係するのか探索しています。 これまでの代表的な業績として、タイ北部の伝統医療や薬用植物に関するものが挙げられます。その研究は植物由来の成分が高齢者の記憶障害を治療するというもので、博士は人類学、植物学、薬理学的方法を組み合わせたアプローチによって、その影響を検証しました。 博士はサンフランシスコ州立大学で植物有機化学者としての現地での研究活動の訓練を受けており、博士の研究テーマは食品や医薬品に利用される植物由来の素材・原料などの重要性を確認し、ヒトの健康と環境の在り方について探求するものです。そうした研究は私たちに、環境と健康、さらに私たちを取り巻くフードシステムの関係性について意識する必要性を提言するものであり、博士の研究を通じて、植物を食事や医薬品に活かして人の健康に関与していくことの重要性が明らかとなっており、さらに生物文化多様性の保全の意識が向上することが期待されています。

画像1
広大キャンパス

画像2
講演会場Cordura Hall

画像3
リサ先生による講演

画像4
参加者との質疑応答

画像5
セミナー最後のメッセージ
Eat More Plants!!!

画像6
リサ先生と参加者の集合写真

画像
臨床研究センター