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JNF活動レポート海外研修セミナー
2015/01/03

2015年米国研修レポート Vol.3

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米国レポート Vol.3

米国レポート Vol.3

JNFスペシャリストセミナー2015のセッション2はスタンフォード大学の実践として、大学の学生食堂での取組について、カフェテリア"スタンフォード ダイニング"の管理栄養士兼食堂マネージャーの方から、"Stanford Organic Healthy Meal" についてお話を伺いました。スタンフォード大学では、ただ食事を提供するのではなく、より良い食事、よりおいしく、安全で栄養価の高いものを提供しようという取り組みが進んでいます。

R&DE スタンフォード・ダイニング

Residential & Dining Enterprises Stanford Dining at Stanford University 管理栄養士のお話の冒頭、私たちはショッキングな話題をうかがいました。米国では肥満への対策の観点から、レストランメニューにカロリーなどの栄養情報が記載されています。ところが、健康への取り組みであるはずの栄養情報の表示が摂食障害を呼び起こす引き金にもなっているというのです。表示があることで、肥満を敬遠する若者を悩ませている現状があり、Eating Disorder(摂食障害)を招いていることが紹介されました。摂食障害を抱える学生にとって、栄養表示、特にカロリー表示は食べることへの気持ちを追い詰めてしまうというのです。そこで、スタンフォードの学生食堂ではカロリー表示を撤廃したそうです。カロリー計算や脂肪の計算という、数字の足し算で食事を選ぶのではない食品選択の力をつけてほしい、そんな願いがこめられています。そして、カロリーなどの数値に代わって、スタンフォードオリジナルの栄養表示マークを設けています。Performance Dining@ Stanfordと銘打った取り組みは学生ニーズに応じたマークによる表示を提唱します。たとえば、スポーツに良い食品、脳の働きに良い食品といった情報をわかりやすい色分けしたマークで示します。学生たちはそのマークを手がかりに、ニーズに応じた食品選択をしています。

■食品選択の社会的意義―持続可能性、地球環境、動物愛護

スタンフォード大学のあるカリフォルニアでは消費者意識が高く、地球環境を考慮した生活スタイルが尊重されています。たとえば、殺虫剤や除草剤を使わないオーガニック農法で栽培された野菜や果物を選ぶこと、また、抗生物質を投与されていない家畜の食肉を選ぶことなども、持続可能性のある食生活として受け止められています。スタンフォードの学生食堂でも、食材選びには、地球環境に負荷が少なく、持続可能性を考慮した生産方法のものが採用されています。できるだけ地域の食材を取り入れています。たとえば、地域のチキン生産者との契約では、抗生物質を使わないAnti-Biotic Free Chickenを動物愛護の観点から動物の命を尊重した飼育法で育てます。スタンフォードに提供するニワトリのえさは植物由来のものに限定し、遺伝子組み換えの飼料は与えません。高い品質管理のもとで飼育し、動物にとって苦痛の少ない屠殺法で食肉加工されます。こうしたチキンは高品質でおいしく、社会的は配慮を施された食材といえます。「From the Farm, For the Farm(農場から私たちへ、私たちは農場のために)」というスローガンを掲げ、社会的な配慮をした食材選びはカリフォルニア地域の生産者との契約のみならず、世界に広がります。たとえば、牛肉はオーストラリアから、サーモンはアラスカから調達しています。こうした取り組みは食堂内のポスターで紹介されています。食堂からの情報提供は、学生たちの意識向上にも役立っています。

■増えるアレルギー、学生食堂に求められる対応

米国でも食品アレルギーを持つ人が増えているといいます。米国ではアレルギー対応に関する法整備も進み、大学にはアレルギー対応が求められるようになってきました。スタンフォードの学生食堂ではピーナッツなどのナッツ類をおかない「Peanut Sensitive Environment Restaurant」であることを表明しています。玉子や乳、麦、ピーナッツなどの主要なアレルゲンやグルテンを避ける食事を用意しています。レンズ豆を麦として応用したり、コーンスターチを代替したり、アレルゲンを排除した食事の提供を行っています。あるいは、牛乳に加えて、豆乳や低脂肪牛乳も揃えています。学生自身が自分のアレルギーに対応する食事を選べるよう、選択肢を準備しています。アレルギー対応がなされている学生食堂を有することが、スタンフォード大学が優秀な学生を獲得するポテンシャルにもなっているそうです。 米国では近年、アレルギーの増加や健康意識の高まりを背景として、菜食主義を採る人も増えてきました。ベジタリアン、あるいはもっと厳格な菜食主義のビーガンといった人たちです。ビーガンの人たちは動物由来の乳や卵の摂取も避ける食品選択を行います。そうした菜食主義の人も健康に留意しながら、おいしく食事ができるようなメニュー開発にも取り組んでいるそうです。そのひとつが、ビーガン向けのスイーツです。乳や玉子を使わず、おいしく楽しめるケーキなどを提供しています。

■スタンフォードの学生食堂が目指すもの

新しい取り組みの一つに飽和脂肪酸の削減があります。以前は飽和脂肪酸が健康を損ねる働きをするという研究報告があっても、市民の食生活を変えるほどに浸透するのには時間がかかりました。ご存知のとおり、トランス脂肪酸を撤廃する取り組みが全米で広がったことにより、飽和脂肪酸への関心も高まっています。スタンフォードの学生食堂ではこうした潮流をメニューに取り入れるようにしています。  清涼飲料水も同様のことが言えます。学生は加糖飲料であるSODAを好みますが、飲料の消費が増加する夏の期間、清涼飲料水を置きません。これは、学生や勤務する職員の健康を守るための「No soda be well(清涼飲料水をやめて健康になろう)」というキャンペーンとなっています。学生への健康的な食事の実現にむけ、学生食堂がイニシアティブをとっています。  スタンフォード大学は学問でも最先端を目指しています。そして、学生食堂でも世界中の大学食堂をリードしていく存在を目指しています。最先端とは、健康的な食習慣への対応であり、アレルギー対応、地域農業との連携、地球環境を意識した持続可能な食材の採用、動物愛護の視点などです。こうした視点でおいしく安全な食事を提供していきます。日本ではまだ対応されていないことも多いでしょう。スタンフォードは米国のみならず、世界のモデルとなる学生食堂を目指していきます。

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広大キャンパス

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講演会場Cordura Hall

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リサ先生による講演

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参加者との質疑応答

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セミナー最後のメッセージ
Eat More Plants!!!

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リサ先生と参加者の集合写真

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臨床研究センター

スタンフォードダイニングのHP
https://rde.stanford.edu/dining/

スタンフォードダイニングのフェイスブック
https://www.facebook.com/stanforddining/timeline