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2017/08/31

NO.59 最近増えているO-157は昔にはなかったのでしょうか?

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最近TVで取り沙汰されているO-157(腸管出血性大腸菌)。

感染すると発熱や嘔吐、下痢など、つらい症状が出るばかりでなく、後遺症も残るなどといわれ、ちょっと怖い細菌ですよね。

私が小さい頃は、今より衛生状態も確実に良くはなかったはずなのに、O-157は耳にしなかったような気がします。昔からあった細菌なのでしょうか?それとも、最近出てきたのでしょうか?

今回は、O-157について、少し調べてみました。

O-157とは?

O-157は「特定の疾病を起こす大腸菌菌株の総称である。毒素原性大腸菌とも呼ばれる。細菌学的には、菌の表面にある抗原(O抗原とH抗原)に基づいて細かく分類される。」とウィキペディアには掲載されています。

通常の大腸菌は、私たちのお腹の中に住み着いていて無害ですが、O-157はベロ毒素という強い毒素を出し、尿毒症や脳症などを発症させるといわれています。

O-157の歴史

O-157の歴史を見ると、1982 年に米国でハンバーガーを原因とする出血性大腸炎が集団発生した事例において、大腸菌O-157 が下痢の原因菌として分離されたのだそうです。

日本では、1990年埼玉県浦和市の幼稚園における井戸水を原因としたO-157集団発生事件で、園児2名が死亡して注目されました。

そのあと1996年に、いわゆる「カイワレ大根」の事件でO-157は有名になりました。
大阪府堺市で学校給食へのO-157汚染による食中毒で、カイワレ大根が感染源の可能性が高いと報道され、結果原因は特定されなかったのにもかかわらず、風評被害で業者さんは大変な思いをされました。
当時の総理大臣である菅さんが、カイワレ大根を記者の前で食べて、安全さをアピールしていたのを覚えています。

そして2011年、あの「焼肉酒家えびす」でのユッケによるO-111、O-157の食中毒。
死者5名、100名以上の患者が出ました。社長が土下座をしたことで、また批判が殺到しました。この食中毒により、それから生肉の規制が強くなりました。

昔より衛生環境は良くなっているはずなのに、なぜ…?

では、なぜ20~30年前に急にO-157などの細菌が問題になってきたのでしょうか?
衛生状態はどんどん良くなっているはずですよね。
外食産業が盛んになってきたせいで、感染すれば人数も多くなるのかもしれません。
私たちの体の免疫力が低下しているのでしょうか?

私が子供の頃には、蝿帳という食品を保存する周りが網の棚がありました(すみません、大昔の話で…)。
今のように冷蔵庫が大きくないので、何でもかんでも冷蔵庫に入れることはなく、生もの以外の食べ残しは、その棚に保存していました。ラップもなかったですし、今から考えると衛生環境は良くないと思います。

外食産業も多くなく、スーパーやコンビニなどがなかった時代は、購入してきた食材を自分達が家庭で作って食べるのが基本でした。食べることを外に委ねることはほとんどなかった時代でした。

「きれい好き」だった日本人が楽な道を選んだ結果

今は、美味しいものを手軽にいただける便利さはありますし、忙しい主婦にとっては有難いものです。
ですが、やはり便利や楽な裏にはマイナス面も必ず存在します。自分の目が届かない食べ物を口にするわけですから、信じるしかないわけです。

日本人はそもそも、きれい好きな民族です。今より衛生状態が良くないといわれていた昔でさえ、年に最低1回は畳を上げて大掃除をしていました。いつからなくなったのでしょうか。家の気密性が高まったということもありますが、労力より楽な道を選んだようにも思えますね。

スーパーやコンビニなどは、食中毒を起こすことを一番恐れています。業務停止になってしまうからです。それを防ぐために、除菌や殺菌剤が驚くほど使用されています。

そもそもきれい好きだった日本人ですが、大掃除より除菌することで、それにとってかわろうとしています。労力は減るし、簡単ですからすぐに一般に普及します。

化学薬品で除菌や殺菌などを行うようになると、常在菌までも殺してしまうようになり、強力な細菌は殺されないようにさらに強力な細菌へと変化していきます。

共存することがなくなり、どちらかが優位に立つまでの闘いのようで、そうなると細菌の方もどんどん力をつけていくことになります。

便利な生活に慣れて体も弱くなってきている

私たちの体も、いわゆる免疫力が低下してきたといわれるように、弱くなってきていることは確かなようです。

便利さを優先するために、添加物の多い食品を食べることが多くなりました。以前にも書かせていただきましたが、添加物の基準量は1種類についての値です。これだけ多量に一度に長期で摂取することは考えられていません。どうなるかは、今私たちが身をもって実験していることになっています。その弊害が少しずつ出てきているともいえます。

快適な住居は、エアコンが完備されています。自分の体で温度管理ができなくなり、気温が上がると熱中症になり、下がると風邪をひきやすくなります。

歩くことが少なくなった生活習慣では、足の筋肉が衰えやすく、腰や膝、股関節の痛みを訴える人が増加します。そして体全体の血流が低下しやすくなります。血流の低下は、免疫力の低下につながります。

昔も出血性大腸菌はあったのかもしれませんが、これほど多く感染することはなかったはずです。食生活や生活習慣の変化、私たちの体の免疫力低下などによって、O-157がこれほど有名になることになったのだと感じています。

O-157もすべての人が同じように感染するわけではなく、弱い人に感染するのです。

今後、もっと強力な細菌が出現する可能性もなくはありません。化学薬品で除菌や殺菌するばかりでなく、自分自身の体を強化することにも目をむける必要があると考えます。



山田有希子(薬剤師・サプリメントアドバイザー・ナキュア代表)
   薬科大学卒業後、薬剤師や美容アドバイザーなどを経て2001年
   サプリメントショップを開業。個人顧客からメーカー企業まで幅広く
   事業を展開。日本ニュートリション協会会員。