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2017/11/30

NO.62 コレステロールは悪者?下げる必要があるのか?

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血圧の薬と同じくらいよく飲まれている薬に高コレステロール薬があります。
コレルテロール値が高ければ、ドロドロ血になって血管が詰まってしまうというイメージがありませんか?
マスコミの影響か、そんな考えを持つ人も多いようです。

悪玉コレステロールにも役割がきちんとある

100年くらい前、心筋梗塞の原因が動脈硬化だと考えられ、その根源がコレステロールだと結論づけられました。それ以来、コレステロールが悪者になり、下げる薬が世界中で発売されました。そして現代にいたるまで、コレステロールと聞けば体に悪いものであるかのような認識をされてきたのです。

もう少し詳しい方だと、善玉コレステロール(HDL)は必要だけど、悪玉コレステロール(LDL)は不要だと考えられているのではないでしょうか。

コレステロールは、細胞膜の原材料としての役割があります。そのほか、ホルモンや胆汁酸の原材料として体になくてはならないものなのです。

LDLコレステロールにもコレステロールを必要な場所へと運ぶ役割がきちんとあり、悪玉と呼ばれるのはあまりにもかわいそうです。
HDLコレステロールは、余分なコレステロールを肝臓に持ち帰る役目があります。

どちらも体にとって必要な成分であるにも関わらず、高ければ動脈硬化に結び付けられ、下げるように指導されてきました。

コレステロールを薬で無理に下げることの弊害

動脈硬化を起こした血管にはコレステロールが付着していますが、コレステロールが血管を塞いでいるのではなく、動脈硬化の炎症をコレステロールが修復しているということが、研究で明らかになってきたのです。

また、食事で摂取する量を調整しようとする方もおられますが、たくさん摂取した場合は、体が量を調節し、血中のコレステロールの値を一定に保とうとします。ですから、食事から摂取するコレステロールの量は、血中には影響はありません。
2015年に動脈硬化学会でも発表され、厚生労働省も食事での摂取基準を撤廃しています。

コレステロール値が高くなるのは、細胞膜の原材料が不足したり、修復に必要だからです。それを悪者扱いして、薬でむやみに下げてしまえば、傷ついた細胞は修復されないまま放置されてしまいます。

また、高コレステロール薬には、横紋筋融解症という副作用が伴います。
横紋筋融解症とは「横紋筋細胞が融解し筋細胞内の成分が血中に流出する症状、またはそれを指す病気のこと。骨格筋が壊死を起こし筋細胞中の成分が血液中に浸出し、筋肉が傷害されて筋肉痛や脱力感等の症状があらわれ、次第に疼痛や麻痺・筋力減退・赤褐色尿などの症状が発現する。重症の場合は、多量のミオグロビンにより腎臓の尿細管細胞が傷害され、急性腎不全症状(乏尿、浮腫、呼吸困難、高K血症、アシドーシス等)を伴う。(ウィキペディアより)」とあります。

アメリカの心臓病学会が「コレステロールは下げなくて良い」と発表

副作用は10万人中8名が重症化するということですが、そんな低い確率なら大丈夫だと思われるかもしれません。ですが、実際に知人が高コレステロール薬で、横紋筋融解症を発病しました。自分には関係ないと思っていたのが、宝くじに当たるような確率でご自分に当たったのです。現在、大変な思いをして治療にあたられています。
副作用は誰にでも起きる可能性があるということは、認識しておくべきだと考えます。

人間ドック学会によると
総コレステロール:基準値140~199㎎/dl、要注意200~259㎎/dl、異常260㎎/dl以上
HDL-コレステロール値:基準値40~199㎎/dl、要注意30~39㎎/dl、異常120㎎/dl以上
LDL-コレステロール値:基準値60~119㎎/dl、要注意120~179㎎/dl、異常180㎎/dl以上

見解は現在でもいろいろと差があります。この数値も以前よりはかなり緩和されたようですが、基準値は今も存在し、基準値を元にドクターから薬が処方されています。
ですが、2013年にはアメリカの心臓病学会で、コレステロールは下げなくて良い!と発表されています。

自分の体感から判断した自分だけの基準値を持とう

たしかに、年齢とともにコレステロール値が上がってくる人は多いと思います。
ですが、それには理由があります。修復する箇所が多いから高くなるなど、健康に保つための体の防御反応であるともいえます。それを基準値だけにとらわれて、薬をすぐに飲んでしまうことには危険があると思えます。

「それなら、高くてもまったく問題なし!食事もコレステロールを意識しなくて良い!」と極端に考える人もいるかもしれません。ただ下げれば良いと考えることも問題ですが、それなら高くてもOKということにはなりません。
極端に数値が上がったり下がったりすることは、ほかの病気などの原因が考えられるので注意しなければいけません。

医学は100%ではありません。
長年当たり前だったことが覆されることはたくさんあります。

「自分の体のことは自分が一番よくわかっている!」とどれだけの人が自信を持っていえるでしょうか?

基準値に振り回され、飲めば副作用が怖くて、飲まなければ血管が詰まるのでは?と不安になる…頭で何でも判断するのではなく、自分の体感で判断できる基準値を持っていると良いのかもしれませんね。



山田有希子(薬剤師・サプリメントアドバイザー・ナキュア代表)

   薬科大学卒業後、薬剤師や美容アドバイザーなどを経て2001年
   サプリメントショップを開業。個人顧客からメーカー企業まで幅広く
   事業を展開。日本ニュートリション協会会員。