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気象と健康
2019/07/25

知らなかった!カフェインが頭痛を緩和させる理由

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日本人の4人に1人が頭痛持ちだといわれています。
特に、女性の方に頭痛持ちが多いといわれ、「片頭痛」に悩まされている方も多いようです。

頭痛に悩まされている方のなかには、コーヒーや紅茶、緑茶などを飲んだら頭痛が
和らいだという経験をされた方もいるかもしれません。

今回は、「片頭痛」にスポットを当て、カフェインとの関係についてもご紹介していきます。

【目次】

■片頭痛の原因となっているのは…?

片頭痛は、「ズキン、ズキン」と、脈打つように強い痛みが長く続くタイプの頭痛を指し、特に、20~40代の女性に多くみられます。頭の片側だけではなく両側性に痛みが出る方もいます。

実は、片頭痛の詳しいメカニズムは解明されていません。
ただ、何らかの理由により脳の血管が拡張することで血管周囲の神経が刺激されることで痛みが生じるものと考えられています。

片頭痛を引き起こす主な原因として、ストレスや女性ホルモンの変化、気温・気圧の急激な変化、睡眠不足・睡眠過多などがあります。また、チョコレートやチーズ、ピーナッツといった特定の食品がきっかけになることもあります。

■予防方法を知って片頭痛を回避しよう!

片頭痛の前兆として、チラチラと点滅する光やギザギザに走る光が見えたり、視野の真ん中に現れたキラキラした点が拡大してドーナツ状になり回転しているように見える「閃輝暗点(せんきあんてん)」などの視覚障害が起こることが多いといわれています。
これ以外にも、「あ、来そうだな」と、自分なりの感覚で頭痛の前兆を判断されている方も多いと思います。

そういった前兆が現れたら、明るい照明がなく、人の少ない静かな場所へ移動して休むことで、片頭痛が起こるのを避けられます。

また、日常から心がけておく生活習慣として、頭痛を誘発するとされている食品(チョコレート、チーズ、ピーナッツ、ハム、ヨーグルト、赤ワインなど)を摂取しすぎないようにしたり、疲労やストレスをためこまないよう休息や適度な運動を取り入れることも効果的です。

片頭痛は、脳の血管の拡張で悪化するため、頭痛が始まってから体を動かしたり温めたりすると、痛みが増してしまいます。片頭痛の対処法として痛みがあるところを「冷やす」ことには効果がありますが、あまり冷たすぎるものを使うと、片頭痛を悪化させる要因でもある「急激な温度変化」を起こすことになるため、やはり逆効果です。

■カフェインは頭痛対策になるか?

冒頭でも触れた「カフェイン」は、血管収縮作用があるため、一時的に頭痛を抑えてくれます。
日本では片頭痛治療の医薬品として、カフェイン、無水カフェイン、安息香酸ナトリウムカフェインが認可され、配合されたものが販売されています。

では、コーヒーや紅茶などが医薬品の代わりになるかといえば、日本頭痛学会の見解では、飲んでも効果はないとされています。

さらに、1日200mgのカフェイン(コーヒー換算でカップ1杯を150ccとして約2.2杯)を超える量を慢性的(2週間以上)摂取し続けると、カフェインを中断したときに頭痛が起こるようになります(カフェイン離脱頭痛)。

このため、日本頭痛学会では、片頭痛にはカフェインによる対症療法ではなく、カフェインから完全に離脱した状態で治療を行うことを推奨しています。

■片頭痛の根本解決を目指すなら、生活習慣の改善を

カフェインには片頭痛を和らげる効果がある場合もありますが、全ての方に効果があるわけではありません。
一時的に使用するにとどめておいた方が良さそうです。

片頭痛に悩んでいて本気で改善したいという方は、こちらでも紹介したような生活習慣の見直しを行うなど、根本的な片頭痛対策に取り組むと良いでしょう。

いつ・どんな状況で頭痛が起きたかを記録する「頭痛日記」をつけて自分の頭痛の傾向を把握しておくのもおすすめです。

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監修:舟久保恵美

医学博士
天気と痛みの関係の謎を解くため名古屋大学大学院医学系研究科で研究し医学博士号取得。
専門は生気象学。健康相談・保健指導にあたりながら、気象痛のメカニズム、
低気圧による痛みの悪化のメカニズム、内耳と気圧の関係について研究している。