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JNF活動レポート海外研修セミナー
2015/01/01

2015年米国研修レポート Vol.1

ブログ
  1. ホールフーズマーケット
  2. スタンフォード大学 -Lasa先生からの学び
  3. スタンフォード大学 -Stanford Diningの実践
  4. カリフォルニアの健康意識
  5. Erwhon Natural Foods Market
  6. Natural Products Expo

米国レポート Vol.1

日本ニュートリション協会が開催する、海外セミナー「サプリメントアドバイザー米国ブラッシュアップ研修」は多くの会員、また栄養ビジネスにご関心の皆様にご参加いただき、今年で10年目を迎えることができました。今年の米国研修は13名が参加しました。年齢も職業も異なる13人。米国の栄養ビジネスをこの目で見て、学びたいという思いを胸に秘め、成田からサンフランシスコに飛び立ちました。世界の健康分野をリードする米国のサプリメント市場の視察、スタンフォード大学での専門家による講義、更には世界中のサプリメントや食材、代替医療関連など、ヘルスケアの関係者が集まる世界最大の健康博覧会「Natural Products Expo West 2015」の参加など、盛りだくさんにすごした研修の様子を連載でお伝えいたします。

米国研修レポート① ホールフーズマーケット

■消費者の意識の高さに応える品揃え
最初に訪問したのはサンマテオのホールフーズマーケット。有機食品を中心に健康やナチュラルにこだわった食品やサプリメントを扱う高級食料品店です。お店のエントランスにも、カラフルなフルーツがきれいに積み上げられ、豊かな収穫と大地の実りを感じさせるディスプレイが目を引きます。店内、天井も高く、明るく、開放的でひろびろとしており、来店者はゆっくり商品を見定めながら買い物を楽しんでいます。入り口付近には旬のものが並び、私たちが訪問したときはイチゴやオレンジなどを配置、すぐ奥の冷蔵棚にはパッケージされていない葉物野菜のグリーンが並びます。ストアマネージャーのシューレーンさんに迎えられ、ホールフーズマーケットのディスプレイや商品の説明を受けました。シューレーンさんのお話によれば、できるだけ「LOCAL」のものを販売しているとのこと。産地表示は州単位にし、ホールフーズが吟味した食品のみを販売するそうです。地域の有機農業との連携にも積極的に取り組み、ホールフーズが独自にオーガニック認証し、購入者に良質なオーガニック食品を購入できるようなシステムが構築されています。加工食品についても、人工着色料や保存料、香料は使っていない、脂肪も単鎖脂肪酸は使用していないもの、またGMO(遺伝子組み換え)フリーの商品にこだわって、消費者に提供しているそうです。ただし、大豆やとうもろこし、パパイヤについては種子が遺伝子組替えされているため、遺伝子組み換えの情報を表示したうえで販売しているとのことでした。

■豊富な品ぞろえのサプリメント
ホールフーズマーケットでは、サプリメントの棚も充実しています。ホールフーズマーケットでは、米国の有力サプリメント企業の製品を扱うほか、自社ブランドは「365everyday value」と「WholeFood」の2ラインを展開し、アイテムを充実させています。2メートルほどの高さのある棚にブランドごと、あるいは、素材ごと、訴求別など、メリハリのある見せ方で、ボトルが並びます。カプセル・錠剤のほか、小瓶に入ったハーブエッセンス、冷蔵ショーケースにはリキッドサプリメントなど、形状もさまざまです。冷蔵ケースにはプロバイオコーナーが設けられ、乳酸菌製品が多数並んでいました。近年、米国ではプロバイオティクスによる腸内環境の改善を介した、免役賦活や肥満予防などが知られるようになり、乳酸菌への期待が高まっています。乳酸菌製品パッケージにも「60億」「90億」「100億」というように、乳酸菌生菌数の多さを誇るものも見られました。
米国サプリメントの人気のカテゴリーのひとつ、スポーツニュートリションのコーナーでは、大きなボトルに入ったホエイプロテイン(タンパク質)が目を引きます。ボディビルダーをはじめとした筋肉づくり、身体づくりのアイテムとしてホエイは欠かせないものになっています。このホエイもオーガニック志向、ナチュラル志向が反映されており、パッケージには100%ナチュラル(自然)やプランツ(植物由来)といった表示がなされています。また、乳由来や大豆由来ばかりでなく、ヘンプ由来、豆由来、米由来など、幅広い選択肢が用意されており、ホエイひとつにとっても、消費者の価値観が反映され、選択の幅があるようでした。
またサプリメントのような抽出、濃縮による栄養補給ではなく、食べ物をそのまま摂取しようというWhole Foodsのニーズに応えるアイテムとして、強い抗酸化力を持つスーパーフーズ、スーパーフルーツなどのチップス、ドライフルーツ・ナッツ加工品も豊富にありました。植物由来のオメガ3系脂肪酸として注目されているチアシードも素材そのものやチアシードをコールドプレスで搾油したオイル、そのサプリメントなど、さまざまな形状のものが販売されていました。ほかにも、日本で話題になり始めているヘンプ(麻)やココナッツオイル、ココアパウダーなども米国では人気商品として店頭に並んでいました。

■ホールフーズの情報提供の取り組み
ホールフーズでは、他社小売店との差別化として、健康や環境への配慮ある商材を販売していることを、消費者にもわかりやすく情報提供しています。ホームページや店頭のパネル、また配布リーフレットで消費者に向けて発信ほか、ホールフーズオリジナルの表示も消費者が商品選択に活用している情報のひとつになっています。

WHOLE TRADE®

たとえば、WHOLE TRADE®は、生産者の賃金、環境、地域開発などを配慮した製品群であることを示すロゴです。この商品群は、消費者の毎日の食品選択が、健康へのアプローチとなるほか、地域の貢献であり、世界を変える一歩になるというコンセプトから生まれたものです。米国では、自分のためだけの商品選びではなく、社会正義に基づくフェアトレードの意識を持つ人が増えています。本当に良い品質のものを適正な価格で流通させることは、生産者を保護し、さらに消費者を保護する取り組みという考え方です。ホールフーズマーケットは健康的で安全な食生活の提案だけでなく、環境や貧困といったテーマにも積極的に関わっており、こうした社会問題に対する意識の高い消費者の共感を呼んでいます。
精肉も独自の基準を設けています。この基準はThe 5-Step® Animal Welfare Rating Standardsというもので、ホールフーズマーケットだけが消費者にこの情報開示を行っているとのこと。家畜が屠殺場でどのように扱われているか、生育の状態はどのようなものだったのか、といった、生命の尊厳を基準化しています。

The 5-Step® Animal Welfare Rating Standards

他にも、ホームプロダクツ、洗剤などの日用品についても独自の色分け表示を導入しています。ECO-SCALEというこのラベルはどれだけ環境を配慮した製品なのか色分けされており、指標となっています。グリーンのラベルがついている洗剤を使うことが、環境を守る取り組みへの参加になるということで、商品選択の1つの材料となっています。

ECO-SCALE

■ホールフーズマーケットについて
ホールフーズマーケットは自然食品・有機食品専門のスーパーマーケットとして、全米に399店舗を構え、カナダやイギリスにも展開しています。価格帯は一般のスーパーより高めで展開、米国最大の小売チェーンです。本部はテキサスのオースティンで、1978年に創立され、最初のショップは1980年にオーガニック食品の専門店として開店しました。その後ヘルス&ビューティーケア(HBC)商品を取り込みながら成長しており、一般のスーパーマーケットに比べると価格は割高ながら、健康志向の高い消費者層の圧倒的な指示を得ています。特に西海岸は健康や自然環境、ライフスタイルといった意識の高い人が多く、ホールフーズマーケットはそうした人たちからの支持を集めています。

このレポートは連載です。
・・・次回をお楽しみに!・・・

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