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気象と健康
2019/08/08

気象病って知ってますか?

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「天気が崩れてくると、いつも頭痛が始まる…」
そんな悩みを抱えている方は、もしかすると「気象病」かもしれません。
本記事では、近年、認知されてきた「気象病」と主な原因、よくある症状について解説します。

【目次】

【気象病とは?】

気象病とは、気圧や温度、湿度などの気象の変化によって症状が現れたり悪化したりする疾患の総称です。

昔から、雨の降る前や季節の変わり目に持病が悪化するという人は一定数いましたが、それが「気象病」として医学的に認められ、近年、一般にも認知されるようになってきました。

 

【気象病になる原因は?】

症状が現れたり悪化したりする原因として、気圧や気温、湿度の急激な変化が挙げられます。
これらに体がついていかないことから症状が現れるのです。

たとえば、気圧が大きく変化すると、気圧の変化を感じ取る器官(内耳)からの信号が脳へと送られ、自律神経のバランスが興奮・緊張状態である交感神経優位へと変化します。
これがストレス刺激となって、頭痛やめまい、うつ症状などを引き起こすといわれています。

【気象病の症状】

気象病の主な症状には、頭痛やめまい、吐き気などがありますが、ほかにもさまざまな症状を引き起こします。

まず、気象病の症状としては、めまい、難聴、耳鳴り、耳閉感、吐き気、嘔吐、頭痛、肩こり、関節痛、じんましん、腰痛、不眠などがあります。

特に、メニエール病は、気象の影響を受けやすいといわれており、回転性の激しいめまいと難聴、耳鳴り、耳閉感が同時に現れます。
気象の影響を受けやすい疾患として、喘息、うつ病、片頭痛、神経痛、関節炎、リウマチなどがあります。
自律神経に影響を及ぼすため、心臓発作や脳卒中など、循環器系の病気を引き起こす可能性もあります。

【気象病の予防策】

天気が変化するたびにこのような症状が出ていた方は、気象病だと考えて良いでしょう。
あらかじめ天気予報などで天候の変化が予想できれば、予防策をとって回避できます。

 

長期的な気象病の予防方法は、日頃から自律神経を安定させる生活習慣をつけておくことです。

たとえば、朝起きたら日光を浴びて、副交感神経優位の状態から交感神経優位の状態に切り替えて一日の活動に備える、適度な運動を習慣的に行うようにする、ストレスを溜めこまないようにする、などです。

 

また、天候の変化で症状が悪化する持病を持っている方は治療に向き合い、気象病の改善を図りましょう。

 

天気予報から、「明日は、頭痛になりそうだ」などが予想できる場合、直前に対処できる予防策には、ストレッチやマッサージ、耳栓をして気圧差を緩やかにするなどがあります。
寝ている間に気圧が変化して、朝起きたときから頭痛がしてしまうような場合は、就寝前に頭痛薬を飲んでおくという方法も効果的です。

 

【それでも気象病になってしまったら】

予防策を取っても気象病の症状が出てしまったら、少しでも症状を軽減できるような対処法を行いましょう。

具体的には、頭痛薬や乗り物用の酔い止め薬の服用、マッサージやツボ押しが効果的です。
たとえば、頭痛のときは、頭頂部にある「百会(ひゃくえ)」や襟足のあたりに並ぶ「風池(ふうち))」「天柱(てんちゅう))」「完骨(かんこつ)」)などのツボを指圧したり温めたりして刺激します。

 

【気象の変化と体調の変化を観察してうまくつきあおう】

自分が気象病かもしれないと思ったら、まずは、不調と天気の変化の因果関係を調べるために、手帳や日記アプリなどに天気や気温、湿度、気圧といった気象条件の記録と体調の記録をつけてみましょう。
不調の原因となっている要素がわかれば、事前に「この日は頭痛が来そうだ」と把握できているだけで予定を調整することもできます。

日頃から自律神経を安定させる生活習慣を心がけて気象病とうまくつきあっていきましょう。
それでもどうしてもつらいという方には、ペインクリニックや頭痛外来など、痛みの専門外来の受診をおすすめします。気象病の専門外来もあります。

 

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監修:舟久保恵美

医学博士
天気と痛みの関係の謎を解くため名古屋大学大学院医学系研究科で研究し医学博士号取得。
専門は生気象学。健康相談・保健指導にあたりながら、気象痛のメカニズム、
低気圧による痛みの悪化のメカニズム、内耳と気圧の関係について研究している。